うちの牛魔王

夕食の支度をしていたとき、
ちび子が台所へやってきました。

ちび子 「お母さん、何か手伝うことある?」

わたし 「今のところ、ないかなー。また後でお願いするよ。」

ちび子 「うん、分かった。
     これ、何?」

と、調味料の棚からちび子が手に取ったのは、
八幡屋磯五郎のひょうたん形の七味入れ。

わたし 「ああ、それ、お父さんの七味唐辛子入れだよ。」

ちび子 「へえ、面白いねー。
     ちょっと借りてもいい?」

わたし 「うん、いいけど、こぼさないでね。」

ちび子 「うん!」

ポンとふたを外して、台所を出ていきました。
わたしは火を使っていたところだったので、
何に使うのかとか、大して気にせずに、作業を続けていましたら、
大きな声が聞こえてきました。

ちび子 「お父さん!!

お父さん「……………。」

ちび子 「お父さんっっ!!!!

お父さん「……………。」


えっ、お父さん、意地悪しないで返事くらいしてやればいいのに。
外にいるのかな?


ちび子 「ダメか。
     お姉ちゃん!!

お姉ちゃん「……………。」

ちび子 「お姉ちゃんっっ!!!!

お姉ちゃん「……………。」


あら、お姉ちゃんまで。
勉強中だからか?


ちび子 「仕方ないな。
     お母さん!

あれ、今度はわたし。


お姉ちゃん「お母さん、返事しちゃダメだよー。」


振り返ると、ちび子がひょうたんの七味入れの口ををこちらに構えています。


お父さん「返事すると、吸い込まれるよー」


あー、なるほど、それで、みんな無言だったのかぁ。


わたし 「おぬし、牛魔王だな。」

ちび子 「違うよー、孫悟空だったんだけどなぁ」

はい、今日の小芝居終了。

しかし、お父さんもお姉ちゃんも察しがいいんだねー。
わたしだったら、即返事して吸引されてたな。
ま、お肉が引っかかって入らなかったとは思うけどさ。
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