わたしの高確率

基本、家型人間です。余り外出しません。
仕事もデスクワークですし、夕食の買い物だって、週に2回くらい。
あとは、子供たちを習い事に連れていく程度。
それだって、けっこうお父さんがやってくれるので、
わたしはほんと、ひきこもりに近い生活をしています。

なのに、
たまにしか外出しない、それなのに、
周りに言うと、えぇっ!と驚くようなことに出くわします。

雨の日、バス停近くで待ち合わせしていました。
その方と会うまでに何台かのバスが停車しては、乗客を降ろしていきました。
あるバスが止まったとき、降車にずいぶん時間がかかっていたので、
つい、気になって、降車口を見ましたら、
両手に杖をついた高齢の御婦人が、
ゆっくりゆっくりと降りてくるところでした。

ああ、どうしよ、お手伝いしたほうがいいかなと一瞬迷いましたが、
バスの運転手さんもしっかりじぃーっとと御婦人のほうをみていましたし、
ローステップのバスだったので、
きっと大丈夫だなと思い、視線を外しました。
余り見るのも失礼だと思って。

御婦人は、これまた、ゆっくりゆっくりと、わたしの前を左から右へと通り過ぎ、
ちょうどわたしから後ろ姿が見える位置で立ち止まりました。
横断歩道を渡るためか、信号待ちをしました。
余りにも歩みが遅いので、ちゃんと信号が青のうちに渡れるかと
また要らぬお節介心が出てきて、御婦人に視線がいってしまいます。

あれ、あの方、おしゃれなズボン履いてるんだ。
腰回りだけ色が違う、ツートンになってるんだねぇ。
でも、腰回りがベージュだと、どきっとしちゃう
などと思っていたのですが、やっぱり、どうも妙なんです。

………あれ、ツートンのズボンじゃなくて、お尻が出てるんだっ!!!
はっきりと二つのお山が見えてしまっています。
どうしよう、声をかけたほうがいいのかな、
気付かないのかな、
両手で杖を持っているから、ズボンを上げられないのかな、
もたついているから、もしかしてオムツなのかしら、
どうして、バスに同乗している人たちは何も言ってあげなかったのかな、
声をかけて気を悪くしたらどうしよう

などなど、あんな短い間に、人間っていうのは、まあ、いろいろと思いを巡らすもんですね。
ぐるぐるぐるぐると逡巡していました。
そうしたところ、歩道の信号が青になり、
御婦人はまたゆっくりゆっくりと道路を横断し始めました。
お尻を出したまま。

結局、歩道の信号が赤になっても渡りきることができずに、
たくさんの車に待ってもらって、御婦人は道路を渡り終えました。
やっぱりお尻を出したまま。

通り過ぎる人も、すれ違う人も、
こちらから心配して見ている人もわたしだけではなかったのですが、
やはり誰も声をかけることができなかったようです。

帰宅してからも、なんだかとっても悲しい気持ちと、自己嫌悪で、
ぐずぐずと暗くなっていました。

下校してきたちび子に事の経緯を話して、
「お母さん、声をかけて直してあげることもできなかったんだよ。
ひどいことしちゃったかなぁ」と言うと、
ちび子はこう言いました。

「お母さん、声をかけなくてよかったんじゃないかな。
 だって、何て言って声をかけるの?
 もしもお母さんが『お尻が出てますよ』って言ったら、
 周りの、お尻のことに気付いてない人たちにまで
 『ああ、あのおばあさん、お尻が出てたんだ』って知らせることになってしまうよ。
 いきなりズボンをつかんで引き上げたら怒らせてしまったかもしれないよ。
 だから、仕方がなかったんだよ。 」
と、慰めてくれました。

ほんとね、こういうとき、どうするのが正しいのでしょうね。
やっぱり声をかけて、歩行をお手伝いするのが正しいのでしょう。
ちび子は、悔んでいるわたしを思って慰めてくれましたが、
でも、御婦人を送ることで、待ち合わせ相手を待たせることになるかもとか
誤解されて怒らせてしまったらどうしようとか、
悪いことばかり考えて、正しい行動をできなかった自分を恥じます。

「ちび子、もしもお母さんがお尻を出していても気づかないようになってしまったら、
そのときは、どうか外出を止めてちょうだいね。」とお願いしました。

すると、

「うん、大丈夫。
 ちび子、よその人には言えないかもしれないけど、
しりあいのしりにはちゃーんと注意するよ!」

と、冗談で答えてくれました。
ありがとね。ちょっと笑うことができました。


この話をわたしの母にしましたら、
なんと、やっぱり
ズボンのゴムが緩んでお尻が出てしまっている御婦人に遭遇したことがあるそうです!
親子なのねぇ、こんなとこまで。
お互い気を付けようねと話しました
なんだか悲しい一日でした。
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 子供とおしゃべり

2 Comments

羊草  

ざぶとん1枚!

ちびこちゃんは優しくてユーモアのあるステキなお嬢さんになりましたね。
空耳だけじゃないですね(笑

私も先日駅で前を颯爽と歩いている男性の襟元に「M」という大きなシールが付いているのに気が付きました。
どう考えても某ユニクロさんのサイズ表示…。
注意するべきかどうしようか悩んでいる間に男性を見失ってしまいました。

注意して恥ずかしい思いをさせたら申し訳ないし、万が一「余計なことを」と逆切れされたら怖いし、そもそも注意して満足するのは自分だけかもしれませんしね。
昔でいうところの「小さな親切、大きなお世話」は止めておいてよかったんだ!と自分を納得させています(^^;

2014/06/14 (Sat) 18:47 | REPLY |   

ちどり  

羊草さんへ♪

> ちびこちゃんは優しくてユーモアのあるステキなお嬢さんになりましたね。
羊草さん、お褒めいただいて、本当にありがとうございます。
子供を褒められることほど、わたしにとって嬉しいことはありません。

ちび子も大きくなりました。高学年です。
もう、ちび子って呼べないかなと思い始めています。
でも、相変わらず面白い子です。

ユニクロのサイズ表示で思い出したのですが、
ちび子は、冬のみかんの袋に入っていた「」のサイズ表示の紙を
今でも机の引き出しに入れて、大切に取っています。
捨てようとしていたら、
「捨てないで、ちび子にちょうだい」と言われたのです。
何に使うんだかなあと思ってはいたのですが、
こんな使い方をしていました。


「ちび子~、手伝って」と声をかけてもなかなかすぐにはやってこないので、
何をしているんだろうとちょっとイラついていたら、
胸にそのマークの紙を貼り付けて
「スーパーちび子、参上!!」
と、元気よく走りこんできました。
そんな高学年女子です…。

2014/06/14 (Sat) 18:58 | REPLY |   

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